営業の型

「売ってもそのまま使い続けられる」リースバックを、資金繰りのために勧められたとき

この型の特徴

  • 「お金がない」「支払いができない」というときに、自宅・自宅兼事務所・店舗・自社ビルを売って、そのまま家賃を払って使い続ける「リースバック」を勧められる。
  • 「生活も営業も変えずに、まとまったお金がすぐ入る」という説明で、売却価格が相場より安く、家賃が相場より高く設定されていることがある。
  • 契約後に「家賃を上げる、応じないなら退去を」と言われる、賃貸借の期間が終わったら再契約できない、買い戻したいと言ったら売却額の何倍もの価格を提示される、という形で困る。
  • 訪問で高額なリフォーム工事を契約させたあと、「払えないならリースバックで」と別の不動産業者を案内される流れがある。売った家の工事代金を、売却金から払う形になる。

国民生活センターには、1,000万円で売却して家賃7万円、6年後に家賃を10万円に上げると言われた事例、200万円で売却して買い戻しに1,000万円を提示された事例が寄せられています(2026年8月公表)。個人の自宅の事例ですが、資金繰りに困った経営者が事業用の不動産で同じ提案を受ける形は、構造がまったく同じです。

払う前(=売る前)に確認すること

  1. 売却額と家賃の総額を並べる。 家賃×使い続ける年数。1,000万円で売って家賃7万円なら、12年で家賃の総額が売却額を超えます。何年で逆転するかを自分で計算してください。
  2. 賃貸借契約の中身を契約書の文言で確かめる。 定期借家か普通借家か。期間は何年か。期間が終わったら再契約・更新できるのか、その条件は何か。家賃を改定する条項があるか。「ずっと使い続けられます」は契約書に書いていなければ口約束です。
  3. 買い戻しの条件を書面でもらう。 価格の決め方と期限。書面にないなら、買い戻せない前提で考えてください。
  4. 売却価格を別の業者に査定してもらう。 最低1社。相場より安い売却と相場より高い家賃の組み合わせになっていないかを見る材料になります。
  5. 工事の支払いのために勧められたなら、同じ日に契約しない。 工事業者と不動産業者の関係、紹介料の有無を聞く。他人の所有物になる建物のリフォーム代を払う形になっていないか考える。
  6. 資金繰りが目的なら、先に別の手段と比べる。 取引金融機関、商工会議所、よろず支援拠点。不動産の売却は元に戻せません。家族と顧問税理士に契約書を見せ、1週間置いてください。

相手に聞く質問

そのまま読み上げるか、メールに貼り付けて使ってください。

  1. 賃貸借契約は定期借家ですか、普通借家ですか。期間と、期間満了後の再契約・更新の条件を書面で示してください。
  2. 家賃はどのように決めましたか。どういう場合に、どの程度、改定されますか。
  3. 買い戻す場合の価格の決め方と期限を書面で示してください。
  4. 売却価格の根拠(査定書)を見せてください。
  5. 紹介してきた業者(工事業者など)との関係と、紹介料の有無を教えてください。
  6. 返答まで1週間いただけますか。

答えが返ってこない質問があれば、それ自体が確認すべき点です。とくに 1 と 3 が書面で出てこない契約は、「使い続けられる」も「買い戻せる」も決まっていないということです。

気になる点があるとき

契約前なら。 上の6つを書面でそろえてから決めてください。急がせる理由を聞き、1週間置いても状況が変わらないなら、その1週間は使えます。

契約後なら。 不動産の売買契約は、訪問販売の書面による申し出の制度が使えない場合があり、解約には手付や違約金の話が出てきます。この場ではその判断はしません。契約書と、工事の契約書があればそれも手元に置いて、次の窓口に相談してください。

  • 自宅など個人としての契約: 消費生活センター(局番なし 188)
  • 事業用の不動産: 弁護士(日弁連 ひまわりほっとダイヤル 0570-001-240、初回面談30分無料)

参考: 国民生活センター 発表情報「自宅の『リースバック』トラブルにご注意!」(2026年8月4日)。

この型で確認すること

確認手順

  1. 売却額と、そのあと払い続ける家賃の総額(家賃×使い続ける年数)を並べて計算する。長く使うほど家賃の総額が売却額を上回る。何年で逆転するかを自分で出す。
  2. 賃貸借契約が定期借家か普通借家か、期間と、期間満了後に再契約・更新できる条件、家賃を改定する条項を契約書の文言で確かめる。「ずっと使い続けられる」は口約束でしかない。
  3. 買い戻す場合の価格の決め方と期限を書面でもらう。書面にないなら、買い戻せない前提で考える。
  4. 売却価格を、別の不動産業者に最低1社査定してもらって比べる。相場より安い売却と相場より高い家賃の組み合わせになっていないか見る。
  5. リフォームや工事の支払いのために勧められた場合は、工事とリースバックを同じ日に契約しない。工事業者と不動産業者の関係を聞く。
  6. 資金繰りが目的なら、取引金融機関や商工会議所に先に相談し、他の手段と比べてから決める。不動産の売却は元に戻せない。家族と顧問税理士に契約書を見せ、1週間置く。

相手に聞く質問

  1. 賃貸借契約は定期借家ですか、普通借家ですか。期間と、期間満了後の再契約・更新の条件を書面で示してください。
  2. 家賃はどのように決めましたか。どういう場合に、どの程度、改定されますか。
  3. 買い戻す場合の価格の決め方と期限を書面で示してください。
  4. 売却価格の根拠(査定書)を見せてください。
  5. 紹介してきた業者(工事業者など)との関係と、紹介料の有無を教えてください。
  6. 返答まで1週間いただけますか。

この型に関する回答

自分の案件で確認することを整理するには 質問票 を使ってください。