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採用の予定がないのに、電話営業で採用動画300万円を契約した。解約を申し出たら3分の1を請求された

2026/9/17 ・ 回答: 島田旭雄

相談の要約(匿名)

会社を設立して間もない時期に、電話営業で「人材採用に効果のあるYouTube広告動画の制作」を提案され、初期費用300万円で契約しました。提案されたサービス自体は良いものだと感じましたが、その時点で人を採用する予定はありませんでした。あとから考え直して解約を申し出たところ、料金の3分の1を請求されました。これは契約書に書かれているとおりの内容でした。

回答

最初にお伝えしたいこと

この相談でいちばん大事な点は、相談者ご自身がすでに書かれています。相手のサービスは良いものでした。引っかかったのは、サービスの質ではなく、「いまの自分に必要か」を考える前に契約してしまったことです。

「良いサービス」と「自分に必要なサービス」は別のものです。営業の説明は、前者については詳しく話してくれます。後者は自分で確かめるしかありません。

以下では、契約後のいま確認することと、次に同じ場面が来たときに払う前に確認することを分けて書きます。

いま確認すること

1. 請求の根拠になっている条項を特定する

解約時の請求が契約書の第何条に基づいているか、金額はどう計算されているかを確認します。契約総額に対する一定割合なのか、着手済み作業の実費なのかで、相手に聞くべきことが変わります。

2. 請求額の内訳を書面でもらう

3分の1という金額が、実際に行われた作業(企画、台本、撮影準備など)とどう対応しているかを、書面で出してもらいます。内訳のうち、自分の言葉で説明できない項目は、払う前に聞いてください。

3. 着手済みの成果物を受け取れるか聞く

企画書、台本、構成案など、すでに作られたものがあれば、支払い後に受け取れるかを確認します。費用を負担する以上、その成果は手元に残したいところです。

4. 解約以外の選択肢があるか聞く

解約するか続けるかの二択とは限りません。次のような形が可能か、相手に聞く価値があります。

  • 制作時期の延期(実際に採用を始める時期まで保留にする)
  • 内容の変更(採用動画ではなく、いま使える会社紹介動画にするなど)
  • 規模の縮小

5. やり取りを文字で残す

ここから先のやり取りは、電話ではなくメールか書面で行います。電話で話した場合は、その日のうちに「本日のお電話の内容を確認させてください」とメールで送り、記録を残します。

相手に聞く質問(そのまま使えます)

  • 「解約時のご請求は、契約書の第何条に基づくものでしょうか。金額の計算方法を書面でいただけますか」
  • 「これまでに着手いただいた作業の内容と、それぞれの費用を教えてください」
  • 「着手済みの成果物は、お支払い後に受け取ることはできますか」
  • 「解約ではなく、制作時期の延期や内容の変更でご対応いただくことは可能でしょうか」
  • 「お支払いは分割にしていただけますか」

払う前に、第三者に見せる

契約書と請求書を持って、第三者に一度見てもらってください。

  • 顧問税理士、商工会議所・商工会
  • よろず支援拠点(国が各都道府県に設置している無料の経営相談窓口)
  • ひまわりほっとダイヤル(日弁連の中小企業向け相談窓口、電話 0570-001-240。多くの地域で初回面談30分が無料)

会社や個人事業主として結んだ契約は、消費者向けの保護制度(クーリング・オフなど)の対象にならないのが原則とされています。「消費者と同じ扱いになるはず」と自分で判断せず、契約書を専門家に見せたうえで、どう対応するかを決めてください。このサイトでは法的な判断は行いません。

次に同じ場面が来たら、払う前に確認すること

契約の前に、解約の条項を読む

契約書で最初に読むべきなのは、金額の次に「やめるときにいくらかかるか」です。今回の請求は契約書に書いてあるとおりのものでした。つまり、署名する前に知ることができた情報です。

「この提案がなかったら、自分はこれを探していたか」と自問する

採用の予定がない会社にとって、採用動画は、どれだけ出来が良くても、いま必要なものではありません。営業を受ける前から自分が困っていたことなのか、営業を受けてはじめて「必要かもしれない」と思ったことなのか。後者であれば、一度持ち帰ってください。

30万円を超える提案は、その場で決めない

必ず書面の見積をもらい、最低1週間は置きます。「今日決めていただければ」と言われたら、それ自体を持ち帰る理由にしてください。良い提案は、1週間後でも良い提案のままです。

設立直後は営業が集中する時期だと知っておく

会社を設立すると登記情報が公開されるため、設立から数か月のあいだは営業の電話や郵便が集中して届きます。資金も判断材料も少ない時期に、提案がもっとも多く来るということです。「設立直後に来た提案は、すべて一度持ち帰る」と先に決めておくだけで、判断がずっと楽になります。

おわりに

相談者は「自分に本当に必要かどうかをちゃんと考えるべきだった」と書かれています。そのとおりだと思います。同時に、これは設立直後の経営者の多くが通る道でもあります。この経験を書いてくださったことで、次に同じ電話を受ける人が、払う前に立ち止まれるようになります。

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この回答は判断ではなく、確認の手順と質問の整理です。契約の効力など法律に関わることは事業としての契約なら日弁連 ひまわりほっとダイヤル(0570-001-240)、個人としての契約なら消費生活センター(188)にご相談ください。