家庭教師派遣契約を中途解約する際の精算方法に納得できない
2026/9/5 ・ 回答: 島田旭雄 公開事例から
相談事例(公開されているもの)
新聞に掲載された広告をみて、家庭教師派遣業者Xに問い合わせの電話をしたところ、「今、ちょうど近所に出向いている者がいるので、すぐに自宅に向かわせます。」と言って、すぐにXの担当者が自宅に訪問してきた。担当者からパンフレットを渡され、簡単な説明を受けた。中学2年生になる子供と家庭教師との相性もあるので、授業を何回か受けた様子をみて、長期の契約を検討しようと思い、そのつもりで、取りあえずXと契約を締結した。その際のXの説明では、2時間が1コマになり、その内容は45分の説明、15分の質疑応答を2回繰り返して2時間の授業内容とのことだった。 しかし派遣されてきた家庭教師によると、45分で15分間の休憩を入れるということであり、休憩を入れずに授業を行った場合には、1時間30分で授業が終了となる契約内容であると言っており、自分が契約時にXから受けた説明とは異なった。なお、家庭教師は子供と相性があった家庭教師であっても、家庭教師の都合で約2か月間しか継続して指導して貰うことはできないと知り、たまたまXからかかってきた電話で、子供も気が進まないようなので1か月のみで契約をやめたいと伝えたところ、乱暴な口調で、「こちらからかけた電話で解約を申し出るとはどういうことだ。 もともと、当該契約は6か月間以上の契約期間である旨が契約書面にも明記されている。契約直後の1か月で受講をやめたいということだが、1か月分の授業料プラス違約金2万円を請求する。ほかの生徒にも支払ってもらっている。」と乱暴な口調で言われた。 契約時に契約期間が半年以上の長期の契約であるとの説明は一切受けていなかった。Xは自宅に訪問してきた後、契約について簡単な説明を行い、その場での契約を急がされたたため、うっかり、契約書面に記載された内容の詳細を確認しないままに署名してしまった。契約書面を確認してみると、「教師と生徒が慣れるまでの期間や生徒に合った学習方法を身につけるまでの期間として、また計画に基づいた定期的な指導による効果をあげるために入会後は、最低6か月間分の指導をお受け下さい。」、「解約は電話連絡にて1か月以上前までに解約通知書を請求し、必要事項を記入してXまで郵送にてご返送ください。なお、指導期間を満了しない場合や1か月以上前までに連絡がなかった場合については、月謝1か月分(開始後3ヶ月までは違約金2万円を追加請求します)を支払えば解約することができます。また、費用についての返金は一切行っていませんので、ご了承ください。」と記載されていた。乱暴な口ぶりの対応を受け、すぐにでも契約を解除し、Xとは関わりを断ちたいと思っているが、解約にあたり月謝1か月分3万6千円に当初聞いていなかった違約金2万円の合計5万6千円という請求は高額すぎるので、支払いたくない。Xが請求しているとおり 支払わなければ当該解約はできないのだろうか。 (公開されている相談事例をもとにしています。この場に届いた相談ではありません。)
回答
この回答は、消費者庁が公開している相談事例をもとに、運営者が「払う前に何を確認できたか」を型の記事から整理したものです。この場に届いた相談ではありません。事業者が同じ提案を受けたときも、確認する順番は同じです。
この型について
- 広告を見て問い合わせの電話をしたら、「ちょうど近くにいる者がいるので、すぐ伺います」とその日のうちに訪問され、パンフレットと簡単な説明だけで、その場で契約書に署名する流れになる。
- こちらは「何回か受けてみて、合えば長く続ける」つもりで契約する。相手もその場ではそれを否定しない。ところが契約書には「入会後は最低6か月分の指導をお受けください」という最低期間が書いてある。
- 途中でやめるときの条件が、「月謝1か月分(開始後3か月までは違約金2万円を追加)」「費用の返金は一切行わない」のように、契約書の中にだけ書いてある。口頭では説明されていない。
- 「2時間で1コマ」と聞いていたのに、実際に来た講師は「45分ごとに15分休憩を入れる。休憩なしなら1時間30分で終わり」と言う。1コマの定義が、契約時の説明と現場で違う。
- 講師や担当者は相性がよくても「約2か月しか続けて担当できない」運用になっていて、相性を見て決めるという前提が最初から成り立たない。
- 1か月でやめたいと伝えると、乱暴な口調で「6か月以上の契約だと書面に明記している。1か月分の授業料と違約金2万円を払ってもらう」と言われる。
消費者庁の特定商取引法ガイドに載っている家庭教師派遣の事例です。月謝3万6千円に違約金2万円が加わり、1か月でやめるために5万6千円を請求されました。子どもの家庭教師の話ですが、社員向けの語学研修、経営者向けの集客講座、コーチング、パソコン教室、営業研修など、事業として受ける「月ごとに続く講座型サービス」は、同じ構造で契約します。 相性を見て決めるつもりで署名した書面に、最低期間と解約時の額が書いてある。この順番が問題です。
払う前に確認できたこと
- 「最低○か月」を自分で探す。 契約書の中に「入会後○か月分はお受けください」「最低受講期間」という記載がないかを、署名する前に読む。口頭で「試してから決めればいい」と言われても、書面に最低期間があればそちらが契約の内容になります。
- 途中でやめるときの額を、自分で計算して書き出す。 「月謝1か月分+違約金」「開始後3か月までは追加で2万円」のように、やめる時期で額が変わる書き方になっていることがあります。契約前に、1か月目・3か月目・6か月目にやめた場合の額を、それぞれ出しておく。
- 「返金は一切行わない」があるか見る。 まとめて先払いする契約では、この一文があると残りの期間分が戻らない前提になります。先払いの総額は、戻らない前提で払える額かどうかで見る。
- 1コマの定義を書面で確かめる。 何分か、休憩を含むか、質疑の時間を含むか。「2時間」と聞いていて、実際の指導が1時間30分なら、単価は説明の1.33倍です。単価は、書面の定義で割って出す。
- 担当者が交代する運用かどうかを聞く。 講師や担当者との相性で決めるつもりなら、「続けて担当するのは約2か月まで」という運用があると、相性を見て決める意味がなくなります。
- 問い合わせの当日に訪問されても、その場では署名しない。 「近くにいるのですぐ行く」は、こちらが急ぐ理由になりません。書面を持ち帰り、最低期間・解約時の額・1コマの定義の3点を読んでから返答する。
相手に聞けた質問
そのまま読み上げるか、メールに貼り付けて使ってください。
- 最低受講期間はありますか。あるなら何か月で、契約書のどこに書いてありますか。
- 契約から1か月でやめた場合、3か月でやめた場合に払う額はそれぞれいくらですか。内訳(受けた分の料金、違約金、その他)を書面で示してください。
- 先に払った費用のうち、途中でやめたときに戻る分と戻らない分を教えてください。
- 1コマ(1回)は何分ですか。休憩や質疑の時間は含まれますか。講師が休憩を取った場合、指導時間は短くなりますか。
- 担当者は同じ人が続けますか。交代する場合の目安の期間と、交代時にこちらが選べるかどうかを教えてください。
- 契約書を持ち帰って検討したいので、返答まで1週間いただけますか。
1 と 2 に口頭でしか答えない相手とは、書面が来るまで契約しない。4 の答えが契約時の説明と違うなら、単価を計算し直してから決める。
いま同じ状況にいる人へ
払う前なら。 書面を持ち帰って、上の3点(最低期間・解約時の額・1コマの定義)を読むだけで終わります。「その場で決めてほしい」と言われたら、理由を聞いて、それでも持ち帰る。
契約してしまったなら。
- 契約書、パンフレット、説明を受けた日時と内容のメモ、やり取りの記録を残す。電話での説明は、日付と相手の名前と言われた内容を書いておく
- 契約書に書かれた解約の手続き(解約通知書の請求、郵送、期限)を、書面のとおりに進める。電話で伝えただけでは手続きが始まらない書き方になっていることがある
- 個人向けの契約には、語学教室・家庭教師・学習塾・パソコン教室などを対象に、途中でやめるときに事業者が請求できる額の上限を定めた特定継続的役務提供という制度があります(家庭教師なら、受けた分の対価に加えて5万円か1か月分の対価のいずれか低い額まで)。この制度は消費者向けの契約を対象にしたもので、事業として結んだ契約や自分の場合に当てはまるかは、この場では判断しません
- 乱暴な口調で請求されても、その場で振り込まない。額の根拠を書面で求めてから相談先に持ち込む
相談先は、事業としての契約なら日弁連 ひまわりほっとダイヤル(0570-001-240)、個人としての契約なら消費生活センター(局番なし 188)です。
解約条件そのものが「全額請求」になっている型は こちら、月額の契約で解約手続きが分からない型は こちら、「今日だけ」「無料体験」から契約を急がせる型は こちら にまとめています。
関連する型: 研修・講座・レッスンなど「月ごとに続くサービス」を、様子を見てから決めるつもりで契約したとき
参考: 消費者庁 特定商取引法ガイド「家庭教師派遣契約を中途解約する際の精算方法に納得できない。」(不明) https://www.no-trouble.caa.go.jp/case/continuousservices/case02.html
関連する営業の型
この回答は判断ではなく、確認の手順と質問の整理です。契約の効力など法律に関わることは事業としての契約なら日弁連 ひまわりほっとダイヤル(0570-001-240)、個人としての契約なら消費生活センター(188)にご相談ください。