営業の型

「借りればすぐ返せる」と言われ、費用を借入でまかなうよう勧められたとき

この型の特徴

  • 「サポート費用」「投資資金」「初期費用」「ツールの代金」を請求される場面で、手元にお金がないと伝えると、相手が借入先を指定する。「消費者金融で」「カードローンで」「ビジネスローンで」「すぐ返せるから」。
  • 1社で足りない額を、複数の貸金業者から同じ日のうちに次々と借りるよう指示される。合計が年収や売上を大きく超えることがある。
  • 「説明のために必要」と言われて遠隔操作アプリを入れたり、画面共有をしたまま借入の申し込みと振込を進める。
  • 申込書の資金使途や年収を、相手の言うとおりに書くよう促される。
  • 振込先が個人名義の口座や、契約相手と違う名義の口座になっている。

国民生活センターは、副業や投資の勧誘で「簡単に儲かる」「すぐに返済できる」と言われ、指示のままに複数の貸金業者から借りて業者に払う相談が目立つと公表しています(2026年5月)。事例では、画面共有アプリを入れて業者と一緒に画面を見ながら、その日のうちに合計450万円を借りた例、競馬予想ソフトの代金100万円を借りて個人名義の口座に振り込んだ例、FX投資の費用約150万円を借りて振り込んだ後に出金できなくなった例が挙げられています。

個人向けの話ですが、経営者に来る「初期費用はビジネスローンで、売上ですぐ元が取れます」「補助金が出るまでつなぎで借りて、先に払ってください」「融資はうちが紹介します」という提案は、同じ構造です。相手に払うために、相手の指示で借りる。 成果物がウェブサイトでも広告でも設備でも投資ツールでも、この順番になったら型として扱います。

払う前に確認すること

  1. お金の流れを一枚に書く。 誰から借りて、誰に払い、何がいつ返ってくるか。相手の費用を払うために借入をする構図になっていたら、そこで止まる。名目が「サポート費」でも「投資資金」でも「つなぎ資金」でも同じです。
  2. 「すぐ返せる」の根拠を数字で書いてもらう。 月いくらの収入が、いつから、何を根拠に見込めるのか。返済の月額(元本と利息)と並べて、収入が出なかった場合に誰が返すかを確かめる。借入の返済義務は借りた本人が負うと資料に書かれています。自分の場合に当てはまるかは、この場では判断しません。
  3. 申込書は自分の事実だけを書く。 資金使途・年収・勤務先・事業内容を相手の言うとおりに書かない。「事業資金と書けば通る」「年収は多めに」と言われたら、その指示を記録して断る。
  4. 複数の貸金業者に同じ日に申し込むよう言われたら止まる。 借入の合計が、自分の年収や月商の何か月分になるかを自分で計算する。
  5. 借入や振込の操作中に、遠隔操作アプリや画面共有を求められたら断る。 申込画面と口座を相手に見せる理由はありません。
  6. 振込先の名義を見る。 個人名義、または契約相手と違う名義なら、その場で止まる。相手の会社名・所在地・法人番号・固定電話番号を書面で確かめ、法人番号で登記上の所在地を照会する。

相手に聞く質問

そのまま読み上げるか、メールに貼り付けて使ってください。

  1. この費用の支払いに、こちらが借入をする前提ですか。借入先、金額、返済の月額と期間を書面で示してください。
  2. 「すぐ返せる」の根拠を数字で示してください。月いくらの収入が、いつから、何を根拠に見込めますか。収入が出なかった場合、返済は誰がしますか。
  3. 借入の申込書に書く資金使途・年収・事業内容について、御社から指示することはありますか。あるなら、その内容を書面でください。
  4. 申し込みや振込の操作を、遠隔操作アプリや画面共有なしで、こちらだけで行ってよいですか。
  5. 会社名・所在地・法人番号・固定電話番号と、振込先口座の名義を教えてください。契約書を送ってください。
  6. 借入をせずに、自己資金の範囲で契約する選択肢はありますか。ない場合、その理由を教えてください。

1 の答えが「はい」で、2 に数字が出てこないなら、この型です。3 で「こう書いてください」と言われたら、その内容を保存してください。

気になる点があるとき

借りる前、払う前なら。 申し込みをやめるだけで終わります。相手とのやり取り、指示された借入先と金額、送られてきた画面は、消さずに保存してください。

借りてしまった、払ってしまったなら。

  • 振り込んだ: 振込先の銀行と、警察相談専用電話(#9110)に連絡する
  • 借入をした: 借入先に事情を伝え、警察(#9110)に相談する。返済の義務や借入の扱いについての判断は、この場ではしません
  • 遠隔操作アプリを入れた、画面共有をした: ネットワークを切ってアンインストールし、パスワードとネットバンキングの設定を変える
  • 申込書に事実と違うことを書いた: 借入先に自分から伝える

相談先は、事業としての契約なら日弁連 ひまわりほっとダイヤル(0570-001-240)、個人としての契約なら消費生活センター(局番なし 188)です。

「稼げる」「仕事を紹介する」という話で先に払うよう言われる型は こちら、遠隔操作ソフトを入れさせる型は パソコンに突然「ウイルスに感染」の警告が出たとき にまとめています。


参考: 国民生活センター 発表情報「副業サポートや投資の名目で借金させる業者に注意!-複数の貸金業者から次々と借り入れさせる手口が目立ちます-」(2026年5月20日)。

この型で確認すること

確認手順

  1. お金の流れを一枚に書く。誰から借りて、誰に払い、何がいつ返ってくるか。相手の費用を払うために借入をする構図になっていたら、その時点で止まる。名目が「サポート費」「投資資金」「初期費用」「つなぎ資金」でも同じ。
  2. 「すぐ返せる」「すぐ元が取れる」の根拠を数字で書いてもらう。月いくらの収入が、いつから、何を根拠に見込めるのか。返済額(元本と利息)と並べて、収入が止まった場合に誰が返すかを確かめる。借入の返済義務は借りた本人が負うと資料に書かれている。自分の場合に当てはまるかは、この場では判断しない。
  3. 借入の申込書に、相手の言うとおりの資金使途・年収・勤務先・事業内容を書かない。「事業資金と書けば通る」「年収は多めに」と言われたら、その指示自体を記録して断る。
  4. 複数の貸金業者に同じ日に申し込むよう言われたら止まる。1社で足りない額を数社から短期間に借りさせる形が目立つ。年収や売上に対して借入の合計がいくらになるかを、自分で計算する。
  5. 借入や振込の操作中に、遠隔操作アプリや画面共有を求められたら断る。「説明のために必要」と言われても、申込画面と口座を相手に見せる理由はない。
  6. 振込先が個人名義の口座、または契約相手と違う名義の口座なら、その場で止まる。相手の会社名・所在地・法人番号・固定電話番号を書面で確かめ、法人番号で登記上の所在地を照会する。

相手に聞く質問

  1. この費用の支払いに、こちらが借入をする前提ですか。借入先、金額、返済の月額と期間を書面で示してください。
  2. 「すぐ返せる」の根拠を数字で示してください。月いくらの収入が、いつから、何を根拠に見込めますか。収入が出なかった場合、返済は誰がしますか。
  3. 借入の申込書に書く資金使途・年収・事業内容について、御社から指示することはありますか。あるなら、その内容を書面でください。
  4. 申し込みや振込の操作を、遠隔操作アプリや画面共有なしで、こちらだけで行ってよいですか。
  5. 会社名・所在地・法人番号・固定電話番号と、振込先口座の名義を教えてください。契約書を送ってください。
  6. 借入をせずに、自己資金の範囲で契約する選択肢はありますか。ない場合、その理由を教えてください。

この型に関する回答

自分の案件で確認することを整理するには 質問票 を使ってください。